時間をすっ飛ばしまして、スマホで測れるpHメーターの最新機種と最新アプリで新しく開発した「高速高効率ノイズフィルター」についてご紹介いたします。
最新機種はこちらです。
センサは3種類
アプリの画面もとってもシンプルになりました。
さて、新開発の「高速高効率ノイズフィルター」についてですが、開発に至った経緯は、次のようになります。
さるお客様から、中国製のOEMと思われるポータブルのpH計のセンサの具合がおかしいということで、お預かりして、調査をしました。
センサをみると、ほとんど、シールド処理していないにも関わらず、pH測定をしてみると非常に安定しています。通常なら、センサを手で触るだけで、静電ノイズが入って、
測定値が揺れるはずなんですけど・・・・。
これは、ソフトかハードでかなりのノイズ処理をいれているな~と思いました。
通常、ノイズ処理をきつくかけると時定数がかかったようになり、生の信号への追従性が悪くなり、応答も遅れます。
図で表すとこんな感じになります。
ノイズフィルターとして非常によく使われる移動平均法の例です。
緑の線が生信号でオレンジの線が移動平均後です。
移動平均回数を増やすと、曲線はなめらかになりますが、信号応答は遅れます。
また、ピークとピークの高さも訛ってきます。
じつは、私のところでも、開発当初のセンサであれば、ノイズ処理は軽くで済んでいたので、応答速度最短5秒という超高速応答は実現できていたのですが、
特に、特注でセンサを開発したときに、ガラス膜の抵抗値が大きくなるものがあり、
静電ノイズを受けることがあり、ノイズ処理を少し多めにかけるようにしました。
よって、応答にも影響があり、「応答速度最短5秒」を実現するには、測定条件
をある程度整えれば・・・・・というようになってきました(でも嘘ではありません
ので・・・・)。
こういうことがあり、アプリも全面的に書き換えたので、上のようなこともなんとかしたいなといろいろやっていたところ、8月のある日、ふと、あるアイデアが降りてきまして(降臨すると呼んでおります)、さっそく、プログラミングし、テストしてみると
バッチリの結果が得られました。
新方式は、ノイズ処理をきつくかけつつ、信号変化への追従性もよくし、より、
リアルな信号変化に対応するということが目標です。
テストとしては、pH4の標準液を測定後、急に、pH9標準液を測定するということを
行いました。
pH4とpH9の間は約320mVの電位差が発生します。pH0~14フルスケールが840mVくらいなので、約38%のかなり大きな信号変化となります。
これまでのノイズ処理との比較の動画がこれです。
新開発のノイズフィルター(右側)では3回の表示変化(=3秒)で瞬時に安定領域に
遷移しています。
従来のノイズ処理(左側)は25回(=25秒)ほどかかっております。
圧倒的な改善結果が得られました。
グラフで示すと次のようになります。
ちなみに、前述の中国製OEMとみられるpHメータと手持ちの国内トップクラスのメーカーのポータブルpHメータで同じテストを行ったところ、応答時間は倍以上かかり、
イラつくほど遅かったです。
これについては、またの機会にレポートしたいと考えております。